『赤の王』 読後抜粋
理不尽だったことはない
母以外に自分を慕ってくれる初めての相手
しかも、母と違って、自分を束縛することもない
くたびれた衣服を身につけてはいるが、卑しさは感じられなかった
自慢は、敵をおびきよせてしまう
解放感のほうが、ずっとずっと大きいのだから
彼の言葉には真心がこもっている
言葉はへつらっていても、声には毒と棘があった
ドルジ親方は激しかったけれど、いじわるじゃなかったから
・・・疲れた
ヤジームの声は悪意に満ち、そのののしりは止むことがなかった
おかげで、シャンは心も体もくたくたになったしまった
ひたすらそうできるよう、願え。念じろ。全ては想いだ
心の渇望の強さが、力を操る
小さな傷を治すより、人を呪い殺すほうがずっと簡単なんだって
1年経った今も、ヤージムはシャンをののしることを生きがいに
しているようなところがある
くよくよ悩むのは自分を哀れむことよ
自分を哀れんで、何か生まれる?
施しなど、ただの一時しのぎで、なんの救いにもなりはしない
何かを生み出してこそ、初めて未来があるのだ
地獄で、私は正気を手放すことで、自分を守ろうとした
だが、それもまた数ある間違いの一つだった
私は戦い抜くべきだったのだ
血は血にすぎない
ただ自身の努力と魂が、その人を特別にする
あまりにも激しい嫉みと憎悪に、マハーンは対抗するすべを
もたなかった