『リセット』 読後抜粋
もっとも厄介なことは、矛盾していることに母自身が
気づいていないことだ
相手の気分を害さないことを何よりも優先してしまう。
いつだって控えめな女を演じて、あとになって被害者意識を
持つのだ
独身者の孤独よりも、夫がいて孤独を感じる方がずっとつらい
腹が立つというよりも、祖母のレベルの低さが嫌になる
一家の大黒柱であっても、稼ぎ頭であっても、男であっても
周囲に気を使わせる権利などない。
家族というものは、お殿様と下々の者で成り立っているのではない
こんな暮らしの中では、家族は一瞬たりとも寛げないではないか
いつまでも周囲の尊敬の眼差しを必要とする人だった
母親が娘を代理走者にしていた時代だったもの
母親自身が実現できなかった夢を娘に託したんだわ。
でも、そのいきつく先までは考えが及ばなかったのよ。
自分より劣る人間を見ることによってしか自尊心を
保てない時がある
自分が見くだすことのできる人間がいなくなったとき
浩之は「男」を放棄した
充足感でいっぱいだった。
これほどはっきりと人の役にたったという思いは
久しぶりだ
仕事以外のことで評価されるのは、金輪際、
真っ平ごめんだ