『プリズン・ドクター』 読後抜粋
自分のことは棚にあげ、他人を侮り、見くだす
普段は卑屈な目でおどおどと周囲を見回しているが、相手の
ウィークポイントを発見するや、その眼には寧髦な光が
宿る
日中の卑屈な態度とは裏腹に、狂暴な本性が剥きだしになっていた
前頭側頭型認症は善悪の判断がつかなくなり、本人に罪の
意識がないまま、理性的な行動をとることができなくなる
卑屈な笑み
他人を貶めて優位にたとうとする卑劣さは、理解の範疇を
越えている
悪の自覚のある人間は、自分の罪の重さを承知している
しかし正義に酔いしれた人間には、自分が犯した罪状さえ
見えていない
平坦な語り口が、一層恐ろしさを増している
己の行為に対する後悔や疑念が、かけらも感じられなかった
サイコパスとは違う
彼の行動理由は正義
際限のない、歯止めの利かない正義