『どこよりも遠い場所にいる君へ』 読後抜粋
自分の意志のないところで自分を好き勝手にされた
すさまじい嫌悪と、恐怖と、それを咎めるでもなく
むしろ楽しんでいる人間がいるという絶望的な混乱。
目にした無数の悪意が皮膚から体内に侵入して
内臓を腐敗させていく気がした
きっと人が愛情と呼ぶものだったのだろう。
でも、そうだとしても、誰か訊いてほしかった。
だらしない男って、殺意を覚えるよね。
あなたはあんなに傷ついていたのに、私を思いやり
助けてくれた。
あなたはやさしい。
やさしいということは、強いのです。
それは敵を打ち負かす強さとは違う、どんなに傷を負っても
人の心にかがやくものを見失わずに生きていける力のことです。