『密室を開ける手』 読後抜粋
母を通してしか父を見ておらず、いまだに母の見せたかった
父しか知らない
人間の尊厳を無視し、踏みにじって顧みないそんな世界で
生きたくない
どこに行きつくのかわからない話ほど、苛立たしいものはない
完全にコントロールしながら、小まめに自立の芽を摘んでいた
夢中になっている時にはそのこと以外頭にないから
その最中にメンタルの傷が補修されるのだろう
IQ自体は変化するし、頭の良さを保証する訳でもないが
潜在能力を示す数字ではあった
人間は十歳までにその全人生の半分以上を経験する
ことになっている
親密な空気を醸し出すのは、詐欺師の常套手段
自分の身の上を重ねてみる
まだ経験した事もない母の死を、立ち竦むような思いで
想像した
知りたいと望むのは、理解したいからだ
それは愛情に起因する
異なる環境が触れ合う場所は、あらゆる生命を
成長させる