『六つの村を越えて髭をなびかせる者』 読後抜粋
言葉とは本来、気持ちを伝えるものだ
意味がわからずとも、発することで互いの
感情のありようがわかる
理不尽に、きりきりと胸が絞られる
優劣の軛(くびき)をつけることでしか、人は
安堵(あんど)を得られないのか
心が通えば、言葉もおのずとついてくる
いつの世も時代を先取りするものは憎まれる
彼らの描く先々が、足許ばかりに目を落とす大衆には
見通しようがないからだ
この感覚を共用できる存在が傍にあることが
ともに有難くてならない
新たな発見こそが生きる糧となり、甲斐となり得る
まわりに囚われず真を見極めようとする姿は、好ましかった
誇りを踏みにじられることは、ひもじさ以上の怒りを
喚起する