『絞め殺しの樹』 読後抜粋
温もりが欲しければ、与えられるのを待つのではなく
自ら手を伸ばせばいい。
それも、自分より弱い者へと。
ミサエは自覚しないままに、他者への慈しみと自分の寂しさを
埋める方法を混同させていった
怒ったところで誰も得をしないし、おそらく意味さえない
同じ言葉を話していても、決して分かりあえない相手というのはいる
懐かしく、そして嫌な感覚だった
無謀とほぼ同義の根拠のない自信
選択肢がない
これまで沈殿していたあらゆる憎悪を、毒素を、周囲に
ぶちまけておかずにはいられないというのか
この様子なら、身近な人も、選挙票も、さぞや離れていくだろう
人を詰めるその言葉が、そのまま自分に当てはまることに気付けないのは
幸運なのかもしれないな
愛情というには道理を外れている
その一点のみでも母は愛想を尽かせる権利がある