『風よ僕らの前髪を』 読後抜粋
不思議だと思いませんか?
あれほどのことをしておきながら、こんな言葉を
真に受けるなんて
あの男はただ俺にたかりたいだけだし、俺を見くびっていたんです
みくびっている俺に一生、寄生しようというんですからね
そんなふうに自分を省みられる人じゃない
どうして虐げた相手を信じきっていられるのか
それは信じるというのとは違います
要は、人として見ていない
人格や尊厳、誇りや心があるなんて思ったことは
ないんです
欲望を満たすだけの、都合のいい、ただ生きてる人形