心にしみる言葉心 『オープンシティ』 1
だから私は自分を聴き手にすると同時に別のものになり切って
音読したのだった
話を聴く技術を、省かれた事柄からひとつの物語を辿る
力を教授から学んだ
黄昏の散歩は。私の欲求を満たしてくれた。
決めごとが多く精神を締めつける職場から解き放ってくれた
知的で繊細だが自分とは水と油だ
たまたま家族や親戚になった者よりも共通点が多い
気がした
無言のうちに心を通わせた
人の過去を消した国で生きるのは簡単なことじゃ
ありません
このことにみんなが怯えないなんておかしいですよ
記憶を精神の音楽だとする考え方も教わった
記憶は弱強格と強弱格を奏でるんだ
秩序の不在は、突然の悪心のようなものだった
当直や長時間勤務を持ちこたえられるのは、患者たちが
信頼してくれるおかげ
オーマが私に向けた静かで困惑した愛情
今度は何をしでかすのだと自分の動きを気にしている