『イノセント』 読後抜粋
ああ、そうだ。
僕は誰かの役に立つことを夢見てきたのだ
必要とされることは嬉しいし、誇らしい。
尊敬の眼差しを向けられることも。
私には如月さんが悪い人には思えなくて
後悔しているように、見えるから。
だから信じられる気がして
自信がないからやさしくされるとすぐに勘違いするよな。
こんなにすぐに期待するから傷が増えるのに。
ずっと誰かに言ってほしかった。
あなたに会えてよかった、と
どうしてこんなに自分に都合のいいことばかり言えるのだ
しかも一見つじつまが合う物語に仕立て上げて。
適度に真実を織り交ぜて。
どんなに本人にとっていいと他人が思っても、それはここで一生を終えるという決意に対する冒瀆だから。