『籬の菊』 読後抜粋

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人の心を亡くして鬼と変じるのは嫌だったし

さりとて一生を悔いて暮らすのも御免だった

人の道に立ち返って幸せに生きることを望むなら

助けないわけにはいかなかった

すべては、自分が生きていくために必要な

ことだった

 

卑屈になるということもなく、自らを哀れんだり

他者を僻んだりする言葉はついぞ聞いたことはなかった