『流浪の月』 読後抜粋
意味をわからず、わたしはルールに従いはじめている
無限に続いていく日々から、少しでも痛みを取り除くために
どうして笑っているのかよくわからなかった。
口にできないことがどんどん溜まっていく
みっともないもと言われた
欲望をセーブできないことが
わたしの意志を確認してほしいと望むのは贅沢なのか
いつもいらだちを感じる。
同じ行為を共有しながら、わたしたちのこの差はなんなんだろう
それでも文はわたしが嫌がることはしなかった
相手に好かれたいとさえ願わなければ、人間関係に憂いは
ほとんど生まれない
言葉が通じないなら、他のやり方でわたしはわたしの意志を
貫くしかない
記憶は共有する相手がいてこそ強化される
重いことはそれだけで有罪だわね
抑圧されると同時に庇護されていた
それらを手放した代わりに、わたしは果てのない大海原に
突き出した岬に、ひとり立ち続ける自由を手に入れた
本当はいつも断ろうと思っている
でも、やっぱり、ひとりは怖いから
事実と真実とは違う
赦されたい、救われたいという弱くて身勝手なわたしの願い