『パピヨン』上・下 読後抜粋
『汝みずからを助けよ、さらば汝を助けん』
たとえ当然だと信じても、他人に仇をなすために生きてはならぬ
人間の裁きによって下された罰に耐えて、自分を高める
機会を持ち得なかった
おれたちの気持ちもきいてくれてありがとうよ
完全な孤絶状態がつくり出す精神的混迷には
容易にひき込まれぬつもりだ
エゴイズムと虚栄心の化物みたいなおふくろに
いいようにされ、さんざん傷めつけられて、
すっかり腰抜けになっていた
いくら何でもそこまで自分をおとしめるような
真似はするまい
嗜虐的な憎悪にみちた邪悪きわまるひねくれた人間
他人が打ち負かされたために自分が一そう元気づいたように
感ずるわが身を責めた
脱走を準備中であるという事実が私にすごい気力を
与えた
あいつにはその結果が分かっていたはず
左巻きたちと一緒に暮らすのはたしかに楽なことではない
他人を悪く勘ぐったりできない人々は、自分自身が善良で
正しい人間
自分も苦しんだことのある人間のもつ思いやりで
私たちを手あつく迎えてくれた