『僕が殺した人と僕を殺した人』 読後抜粋

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ぼくはジェイの求めるものをあたえてやれなかったし

 

無駄にしたあの六年間を思うと、いまでも気が滅入る

 

両親にどこかへ追いこまれようとしていた

 

前世での貸しを取り立てに来た債権者

 

不幸の予感は不幸そのものよりもずっと手強い

 

時限爆弾がカチコチと動いているかのように気が

休まることはなかっただろう

 

本当の嘘つきはまず自分自身が自分の嘘に

騙されている

 

サイコパスの言うことなんていちいち気にする

ことないって

 

恐怖に引きずられ、願望に目隠しをされていた

 

ひとりの人間がそこまで無私になれるだろうか?

理念や信仰があるなら、理解はできる

マザー・テレサマハトマ・ガンジーも、現生での

無私無欲を貫きとおせたのは、天国で報われることを

期待していたから

 

あたえる側からかすめ取る側に変わっちまったはずだ。

なぜなら、それが大人になるってことだからだ

 

だれかになにかをあたえたら、ほかのだれかにあたえて

もらわなきゃ、こころがだんだん痩せ細っていく

 

人に知ってもらうために行う善はほんとうの善ではなく、

人に知られるのを恐れる悪は大悪である

 

ずっと理解できなかったフレーズが、いまなんとなく

腑に落ちたような気がした

 

彼と過ごした日々を書き残すことで、少年時代を

生きなおしている

 

なにかから逃れたくて、なにかに打ち込む。

そうやって一歩一歩そこから離れていく

 

アロハはハワイに移民した日本人たちが貧しくてつらい

生活のなかでつくりだしたもの

ふさぎこんで自分の運命を呪うより、どうにもならない

現実をアロハシャツにして笑い飛ばした