『眩(くらら)』 読後抜粋

4103399716

 

「これが家業だ

 限りある時でいかに描くか、その肚が

 括れねぇんなら素人に戻れ」

 

「たとえ三流の玄人でも、一流の素人に勝る

 なぜだかわかるか。

 こうして恥をしのぶからだ。

 

 己が満足できねぇもんでも、歯ぁ喰いしばって

 世間の目にさらす。」

 

あんたのその優しさは毒だ

 

「巧いことと絵の奥意を極めることとは別物だ。

 どうだ、巧いだろうってぇ絵には品がねぇし

 わざと無心を装ったような絵もみられたもんじゃねぇ。」

 

他人に教える道は、己が教えられ、導かれる道でもあった。

 

名古屋の西別院の境内で大達磨絵 貼り継いだ紙は

 百二十畳大 長さだけで畳十枚分