『眩(くらら)』 読後抜粋
「これが家業だ
限りある時でいかに描くか、その肚が
括れねぇんなら素人に戻れ」
「たとえ三流の玄人でも、一流の素人に勝る
なぜだかわかるか。
こうして恥をしのぶからだ。
己が満足できねぇもんでも、歯ぁ喰いしばって
世間の目にさらす。」
あんたのその優しさは毒だ
「巧いことと絵の奥意を極めることとは別物だ。
どうだ、巧いだろうってぇ絵には品がねぇし、
わざと無心を装ったような絵もみられたもんじゃねぇ。」
他人に教える道は、己が教えられ、導かれる道でもあった。
名古屋の西別院の境内で大達磨絵 貼り継いだ紙は
百二十畳大 長さだけで畳十枚分