『心に雹の降りしきる』 読後抜粋

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なぜこの女はこんなに善良で優しいのだ、と

胸の中でそれが何か呪わしいことのように吐いた

 

望むと、知らず知らずのうちに女を束縛し

嫌われるような人間になってしまうらしい

 

人当たりのいい不動産屋の面影はもうどこにもなく

同じ顔をした他人といったほうが良かった

 

久々に誰かと話して心が解放される喜びを

得ることができた

 

この女は、手塩にかけて育てた娘を殺せるだろう

狂気のせいじゃない

孤独が、この女にそれをさせるのだ