『地獄の犬たち』 読後抜粋
陽気で無邪気で、殺人に対する抵抗感がまるでない。
彼が抱え持つ闇に呑みこまれそうになる。
老人たちの一方的なおしゃべりに気力を吸い取られ、
退屈かつハードワークの日常に幻滅しかけた。
人間を破壊するにあたって、何の罪悪感や痛みも覚えない
のが室岡という男だ。
一部の感情が欠如したサイコパスともいえた。
つねに他人のミスをあげつらうヤクザの鑑のような男だった
くつろげる場所は、本心を吐きだせるこの場所しかなかった
ただの醜い八つ当たりだとわかっていながら、暴言を浴びせずに
いられなかった