心にしみる言葉 『ウールフ、黒い湖』
新たな感情になんらかの形に折り合いをつけようとした
抑圧された気分の者たちは、時おり、突発的にいたずらを
したり無理に猥談をしたりして鬱憤を晴らした
上品と下品、粋と無粋との違いを区別することのできる
力、生きた知恵。いうなれば、内面の躾、まがい物に
対して距離を置く術
誰に対しても心を閉ざした。この態度は自由を束縛されることや
反抗心から発していただけではなく、そのほとんどが他の少年たちから
一目置かれたいという思いに起因していたのだ
距離が生じたのは、対するなにがしかの敵意からということではなかった
それよりもむしろ、一種の無関心、興味の欠如からだった。なんとか
目立とうとして取った行動は無駄な試みだった
極端に無口になり、暗くひそかに窺うようなまなざしが瞳から
消えることはなかった
『火定』
わが身のためだけに用いれば、人の命ほど儚く、むなしいものはない
されどそれを他人のために用いれば、己の生には万金にも値する意味が
生じよう。誰かがわしの行きた意味を継いでくれる
人は極限まで追い詰められれば、自分たちと相容れぬものを
排除し、抹殺せんと躍起になるのでございます